
もしそうなら、その生き方を選んだ理由を教えてもらえませんか?
私は若いころ、ビーガンから始めたベジタリアンを10年続けました。
今回は、その頃の自分の経験、始めて気づいた心の変化などを書いてみたいと思います。
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現在の日本のベジタリアン、ビーガン率は人口の4.5%。
世界の中のベジタリアン人口トップはインドの29.0%らしいです。
第二位はイギリスの14.0%
なるほど、ロンドンでシェフとして生活していて、ビーガン、ベジタリアンが当たり前と思うようになったこの数字に納得です。
“参照「2018年の訪日外国人ベジタリアン〜人数と市場規模」”
高校三年生の夏、本屋で私のベジタリアン生活は始まります。
FM Fanという音楽情報誌を立ち読み。その中に英国ミュージシャンのインタビューが載っていました。
彼女は言います、
「お肉を食べている人からは、いい音楽は生まれてこないの。」
そのミュージシャン、今もこのイギリスで生活しています。現在はどうか分かりませんが、彼女は当時ベジタリアンでした。
時は多くのベジタリアンのミュージシャンが活躍していたブリティッシュミュージックの全盛期。
「そうなのかぁ~・・。」
こんなふうに思ってしまった私はやはり若かった(笑)。
父親似の私は食べ物の好みから爪の形までそっくり(母親談)。肉が大好きでした。
そんな私が「ベジタリアンやってみるか」と決心したのは駅前の本屋だったのです。
一週間か10日やってみよう。そんなつもりでしたが結局は10年続いてしまいました。
ビーガン でも間違って食べちゃったら?
ビーガンから始まった私の新たな生活。
肉魚はもちろん、卵、牛乳、チーズもダメ。
時々、間違ってポテトサラダなんか食べてしまいます。
「あぁ・・、マヨネーズ食べちゃった・・。」
こうなると当時の私は自分への罰として、一日絶食をしていました。
一日絶食するけど、学校にも行き、帰りにはバイトもする。
絶食の一日が終わり、翌朝、「よし、今日は食べられるぞ」と普通にごはんを掻き込んで、急に吐き気を覚えて学校を休む。
こんなこともあったのです。
ビーガンからベジタリアンに変えたのは、あまりにも母親の負担が大きい事。
そして友達との外食。レストラン選びで大きな迷惑をかけていると感じたからでした。
当時、私の食生活を支えたものに、大豆たんぱくで出来た「鶏肉もどき」がありました。
こんなものが売っていたのは、そごうデパートの食品売り場だけ。高級品ですね。
さて、ベジタリアンになって体重などに変化はあったでしょうか?
私の場合はなし。です。
元々やせていた私は体重には変化なし。
その変わりということではありませんが、目の下に小さなポツポツができました。
急に栄養の変化があったからでしょうか?
今もそれは残っています。
身体の変化は特に見られませんでしたが、自分でも気づいたのは精神面。
涙もろくなったと当時の私は気づきました。
感受性が豊かになった、なんて書くとカッコイイ感じですが、でもホントそんな感じ。
小さなことに敏感、感動して涙が出ていました。(今は少々の事では動じない鈍感ですかね)
ただの音楽好きからなんとなく始まったベジタリアン。
やりだしてから、動物愛護のことや、食材に対する考えが自分の中に芽生えていきます。
料理好きの私の夢はコックさんになることだったのです。
大豆たんぱくの「肉もどき」を食べながら、「これって肉食べてないけど、肉が食べたいってことだよね? それってどうなの?」
かなり面倒な高校生でしたね(笑)
将来の進路を決める時、既にベジタリアンだった私は悩みました。
夢をとるか、ベジタリアンを続けるか。
父親の反対もあったこともあり、一旦は諦めて、印刷会社へ入社。
でも。。
やっぱり夢ってそう簡単には諦められませんね。私がしつこかっただけかもしれませんが。。
しかし、肉、魚を食べなくては、調理、味見は出来ません。
当時、印刷会社で働きながら、夜、銀座にあるフレンチのお店でパントリーという仕事をしていました。
どんな形でもいい、ホンモノに接していたかった。
やっていたことと言えば、シルバー、グラス磨き、グラニテ、デザートの盛り付けくらい。
まかないも食べず(食べられず。もちろん、料理長にはベジタリアンだなんて言ってません)
ある日、料理長から「キッチンに入って正社員として働かないか」と言われました。
「来た~!!」って感じですよね。肉を食べる生活だったら。。。
あの時、ベジタリアンを止めて、その店のキッチンに入っていたら。。
私は現在イギリスにいなかったかもしれません。
どんなきっかけでベジタリアンを止めたの?
これも書きたいところですが、既にかなり記事が長くなってしまったので、ここでは書きませんが、いつかお話出来る時があればと思います。
ベジタリアンとして生活していた若き頃。
その経験は、シェフとして働いている現在に大きく影響しています。
肉、魚だけではない。野菜も生きている。
自分が口にするものは、命。すべて生命を持っていたものだと。
「野菜は痛みを感じないからいい」ということは自分の中にはなかった。
「全て生命。人間は他の物の生命を奪って口にしなければ、我々の命を生き延びさせられることは出来ない」という事。
なので私は材料をムダにすること、生命を無駄にすることが好きではありません。
「しなびたニンジンも、ニンジンの最終目的地はゴミ箱ではなく、胃袋であるべき」
これはシェフという仕事をしていく上で、大切な自分の柱となったと思います。
あなたはビーガン、ベジタリアン生活を通して、何か気づき、答え、そんなものあるでしょうか?
きっかけはダイエットでもいい、動物愛護でもいい。
生活で続けていく中での考えや気づきが出てくると思います。
そうなってくると、今度は自分の口に入れるものを考えるようになる。
これはダイエットについても言えることだと思います。
そしてコンビニばっかりだったのが自炊をするようになるかもしれない。
You are what you eat(あなたは、何を食べるかによってあなたになる)
10年後の自分を作るのは今。
何を体に入れ、どんな考えを頭に入れるかです。
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最後に。
見ず知らずの、こんな私の経験。
読んでくださってありがとうございます。感謝です。
私の経験から作ったこのブログ。立ち上げたことで、久しぶりに当時のことを思い出し、書いてみようと思いました。
もう長い事、人に話すこともなくなった私の過去。
そんな忘れかけていたことでも、よくよく考えてみれば現在にも色濃く影響していることが分かりました。
そして、この仕事をする上で良い経験になったと今は思えるのです。
無駄な経験というのはないですね!